ガイドによる瞑想

初心者にはガイドが適切な場合も

 これまで、自分で瞑想を行なう方法を幾つか紹介させていただきました。ところで、世の中には瞑想に関する書籍やCD、DVD、さらには携帯アプリなどが多数出ています。瞑想の初心者は、そうしたものを利用することでより容易に瞑想を行なうことができるでしょう。

 以下、関連書籍やCD、DVDなどのことをまとめて『ガイド』と表記します。ガイドを使用することの利点は、「誘導に従うだけでよく、余計なことを考えにくくなる」という点が挙げられます。

シータ波とは何か?

 脳波には『アルファ波』と『ベータ波』があるという話をしました。ベータ波は不安・ストレス・恐怖・覚醒状態にあるときに出る脳波で、『アルファ波』は安静状態にあり、リラックスしている状態の脳波です。脳波はその他にも存在し、その中でも瞑想においては『シータ波』が出るのが理想的だと言われています。

 シータ波というのは、入眠直前の脳波のこと。8Hzから4Hzの周波数で、潜在意識の状態、まどろみの状態にあります。浅い睡眠状態であり、アルファ波よりもさらにリラックスしている状態です。ヨガの達人には驚異的な記憶力を持つ人物がいますが、その人物の脳波を計測するとこのシータ波が多く出ているというケースがありました。例えば、このシータ波が出るような音楽を聞くことで、よりスムーズに瞑想に入ることが期待できます(ちなみに、もっと深い状態は『デルタ波』といい、これは深い睡眠状態にあるときに出る脳波です)。

音楽選びのポイント

 今回は、ガイドの中でもシータ波が出やすい音楽について、その選び方のポイントを説明します。

 まず、音楽を聴くにあたっては耳をすっぽり覆うタイプのヘッドフォンを使用すると良いでしょう。周囲の音を遮断し、より音楽に集中しやすくなる効果が期待できます。カナル型のイヤホンよりも、さらに十分な遮断が得られます。なおコードレスのヘッドフォンでは雑音が入りやすくなり、おすすめできません。

 音楽選びのポイントですが、まずは一定のゆったりしたテンポであることが望ましいです。アップテンポでノリが良い音楽だと興奮が高まり、脳が覚醒状態になってしまいます。また、歌詞がある楽曲ではなく、ボーカルレス・インストゥルメンタルの楽曲が良いでしょう。特に日本語の歌詞は、私達は日本人ですから、意味を聞き取れてしまうと別の雑念が入り込む余地を作ってしまいます。恋愛ものの歌詞が入ってくれば、容易に思考がかき乱されてしまう人もいるのではないでしょうか。こと瞑想において、歌詞は必要ありません。

 音量は、40デシベル以下が目安です。これは市内の深夜・図書館・閑静な住宅街の昼間ぐらいの数字です。一般的な会話の大きさが60デシベル、電車内が80デシベルぐらいだと考えて下さい。図書館の中での会話ぐらいのボリュームに落とすと、うまくいくでしょう。

クラシックはシータ波を

 シータ波を出す上でおすすめのクラシックを幾つか紹介いたします。まずは、モーツァルトです。『モーツァルト・セラピー』というそのものずばりのタイトルもあるように、モーツァルトの曲は高周波の部分が多く、副交感神経を刺激しやすいと言われています。アメリカでは学習障害や発達障害者に向け、モーツァルトの楽曲を聴かせる治療が行われているほどです。

 モーツァルトの楽曲にはまた、シータ波を出すうえで有用な「ゆらぎ」があります。規則正しい音、静かな音だけでは、人間は慣れてしまい快感を得づらくなります。しかしモーツァルトの楽曲には予測可能なコード進行と不可能なものが混在しており、それが常に人間の脳に刺激を与え続けるのです。

 クラシックではその他にJ.Sバッハの「ゴ―ルドベルグ変奏曲」「G線上のマリア」、ショパンの「ノクターン第一番・第二番」、ジュール・マスネの「タイスの瞑想曲」なども挙げられます。クラシック曲によっては向いていないものもありますから、実際に視聴するなどして確認してからの購入をおすすめします。

「いっしょにメディテーション!」の活用

 ここまで、幾つか瞑想についての情報を提供させていただきました。少しでも皆さんの参考になっていれば幸いです。

 なお動画内では、ガイドの女の子の誘導に従っていくことで、初心者でもスムーズに瞑想できるよう様々な工夫をこらしております。「文章だけじゃやり方がわからない」と思われる方は、繰り返し動画を見て実践を繰り返していくことで、より瞑想に対する理解度が深まると思います。何事も習慣が大切です、慣れないうちはこまめに動画を見て参考にしてみてください。