耳栓を使って自宅で瞑想環境を
それでは実際に瞑想をやってみましょう。ただ、その前に正しい場所や時間について把握しておくことが重要です。
当然のことですが、瞑想に際しガヤガヤとうるさい環境、人通りが激しい環境、テレビやラジオなどで激しい音楽などが掛かっている環境はあまり好ましくありません。自宅であっても、こうした環境にある場合はテレビやラジオを消し、なるべく集中しやすい環境を作るのが望ましいでしょう。
それでも自宅ではなかなか集中しづらい、というケースはあり得ます。例えば乳幼児が同居しており頻繁に起こされる、同居する家族が多くひっきりなしに声をかけられる、共用の電話が置いてありその電話が頻繁に鳴る、シェアハウスに住んでおり来客が絶えない……といったどうしようもないケースもあるでしょう。
その場合、耳栓を用意するのも一つの手です。Amazonなどで検索すれば、数多くのラインナップを見つけることができます。高価なものは必要ありません。安価なものでは100円を切るものもあります。耳へのフィット感など、使ってみないとわからない部分もあります。確実に機能を求めたいなら、幾つか購入してみて、最も自分にあったものを探すといいでしょう。
自宅が使えない! どうする?
それでも、「どうしても自宅では瞑想できない!」という方はいるでしょう。その場合も、幾つか工夫をしてみることが大切です。例えば、近所のカフェに移動する。何も1時間も2時間もこもるわけではないのですから、耳栓を持っていって端っこの席に座り、5分間ほど瞑想を行なうという手もあります。
あるいは、図書館。カフェよりももっと静かな環境が期待でき、手軽に瞑想ができるでしょう。大きく息を吸い込み過ぎたりして、自分が音を出す原因にならないように注意が必要かもしれません。
あまりオススメはしませんが、公衆トイレの個室という手もあります。やはり長時間の瞑想には向いていませんが、便座に腰掛け5分間程度の瞑想を行なうことはそれほど難しくないでしょう。東急電鉄は比較的トイレがきれいですし、最近開発されたデパートやショッピングモールはトイレの美しさもアピールポイントの一つにしています。自宅は使えない、となった際の参考にしてみてください。
近所に条件のあう場所があることが前提ですが、最近ではお寺で禅体験を受け付けている場所もあります。例えば大晦日にプロジェクションマッピングをすることで有名な目黒区・碑文谷にある圓融寺では、月1回座禅体験会を行なっています(参照)。こうした機会を利用するのも一つの手ではないでしょうか。
瞑想にふさわしい時間帯とは?
瞑想は、長時間やるから意味がある、というものではありません。短時間でも、深い瞑想をすることができれば大きな効果が得られます。いわゆる「量より質」の世界です。
では、どのような時間帯なら効果的なのでしょうか? これも、適した時間は人それぞれと言えるでしょう。ある人は早起きしてすぐ、家族が寝静まっている時間帯のほうが集中できるかもしれません。ある人はお風呂上がり、副交感神経優位になっているタイミングで行なうほうがメリットが大きいかもしれません。仕事から帰宅してネクタイを外し、部屋着に着替えたタイミングのほうが頭の切り替えができるという方もいるでしょう。そのあたりは、人それぞれで構いません。
ただ、それでもあえて言うならば、朝一番と夜眠る前の瞑想にはより多くの効果が期待できるでしょう。朝は一日の始まり。瞑想をしリラックスした状態でスタートできれば、しない時に比べストレスが軽減された1日が期待できます。逆に夜眠る前は、1日で蓄積された情報を整理し、身体と心の疲労をとるタイミング。瞑想をすることで副交感神経を優位にし、情報の整理をよりスムーズにし、より効果的な睡眠をとることが期待できます。
デビッド・リンチは瞑想愛好家!
余談ですが、世界的に有名な映画監督であるデビッド・リンチは瞑想を非常に愛しており、瞑想を知ってから32年間一度も欠かしたことがないそうです。
ハリウッドでは非常にハードワークが要求されますが、そうした中でも瞑想を続けているリンチ監督はカンヌ国際映画祭監督賞である『マルホランド・ドライブ』を始め、非常に深い精神世界に入り込む作品を多く発表しています。リンチ監督の作品の特徴は、時系列をバラバラにするだけでなく現実のシーン、回想シーン、夢のシーン、あるいはストーリーに何も関係ないシーンなどが渾然一体となり、観客に美しい映像とともに強烈な違和感を突きつけてきます。リンチ監督の深い精神世界、唯一無二のクリエイティヴィティには、瞑想が一役買っている可能性が高いといえるでしょう。